公益財団法人 中近東文化センター|中近東の歴史的文化の研究と発表

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2015.04.10

今月の一品  ルリカ

今月から、毎月ひとつづつ、中近東文化センターの展示物をご紹介していくことにします。素人が面白いと思ったものを勝手に紹介するのですから、学問的には不正確であったり、本来書くべきことを書かなかったり、色々と問題があるでしょうが、そこは大目に見ていただきたいと思います。

 シリーズの最初にご紹介するのは、何と言っても、当センターのマスコット、エジプト出土の河馬の像、ルリカです。今から4,000年前に作られました。

 この河馬像はファイアンスという焼き物で作られています。ファイアンスというのは、古代エジプトで多く作られた焼き物で、ガラスの前身と言われています。その作り方や色の出し方には、未だよく解らないところもあるのですが、一般的に言われているのは、石英を含んだ砂をすりつぶしたものに石灰や灰などを混ぜ合わせた材料で形を作り、乾燥させた上で焼き上げたということです。特色として、焼き上げの結果、表面がガラス状になって、光沢のある仕上がりになったことがあげられます。古代エジプト人が好んだ青い色は、銅の要素を使って発色させたと言われています。

 この種の河馬像の完成品としては、ニューヨークのメトロポリタン美術館のもの(ウィリアムという名前です)と大英博物館のものが有名ですが、このルリカもそれらに劣らない出来で、当センターの所蔵品の中でも、高い評価を受けているもののひとつです。ただ、これが何に使われていたのかは、必ずしもはっきりしていません。お墓から発見されたということから、貴重な品物であったことは解ります。ただ、古代エジプト人の河馬に対する想いが、畑の作物を荒らす害獣という感じと子供連れの豊穣の象徴という面の混在する複雑微妙なものであったと言われていることを考えると、これが子供の玩具だったのか、家庭内のお守りの神像だったのか、あるいはまた何かの儀式のためのものだったのか、諸説入り乱れるのも無理からぬところです。

 ルリカという名前は、2006(平成18)年の夏休みに行われた命名コンテストで、当時武蔵野市立大野田(おおのでん)小学校の6年生だった佐藤公治君が「瑠璃色の河馬」から思いついてつけてくれたものです。センターの陽だまりの中で、この河馬は「いい名前をもらって幸せ!」と微笑んでいるように見えます。                       (羊頭)

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