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2015.10.30

今月の一品⑦三笠宮殿下ご作成のイスラエル南北朝時代の年表

 今月の記事は大変遅くなりましたが、これには理由があります。実は、当センターでは、センターの生みの親であり、育ての親でもある三笠宮殿下が、近く百歳のお誕生日を迎えられるのを記念して、『三笠宮崇仁殿下百寿記念展示』の企画を立て、その準備をして来ました。そして、ようやく10月27日にその公開が始まったのです。今回ご紹介するのは、その展示の中の一品です。

 三笠宮殿下は、研究を進められる際のやり方として、よくご自身で年表を作られたり、地図の上に歴史事象をプロットしたりなさいました。それらの研究手法を示すもののいくつかは、今回展示されていますが、このイスラエル南北朝の年表は、その中でも際立って大きく、また、細かく作られています。

 紀元前10世紀に、イスラエルは、北のイスラエル王国と南のユダ王国に分裂し、イスラエル王国は紀元前8世紀まで、ユダ王国は紀元前6世紀までそれぞれ存続します。この間の事象を記述したのが、旧約聖書の列王記ですが、三笠宮殿下は、列王記記載の事暦を、王名、系統、預言者等の分類に沿って、丹念に拾われて、一つの大きな年表にまとめられました。随分昔の作業ですから、年表の紙も相当痛んでいて、展示できるかどうか危ぶまれたのですが、幸いうまく補強工作ができ、今回、中心的な展示物として、異彩を放っています。方眼紙をいくつもつなぎ合わせて、丁寧に事暦を記載してある様子は、三笠宮殿下のご研究への熱意と真剣さを強く印象付けるものです。また空きスペースに殿下の御所見が赤字で記入してあるのも、興味深いポイントです。殿下が一人の研究者として、どの様な姿勢で研究目的を追求して行かれたかを認識するためにも、ぜひ皆様に見ていただきたい一品です。     羊頭

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