研究室には、中近東諸地域のさまざまな時代の歴史、社会、考古学、芸術、言語、文学、宗教を専門とする研究員がいます。研究員は個人研究を深め、その成果を学会に発表すると同時に、センターを研究者間の情報交換、情報提供の場とし、かつ研究者以外の方々の中近東に対する理解を深めるため「企画展示」、「講演会」、「シンポジウム」そして「プロジェクト研究」などの活動を行っています。
 さらに発掘調査をはじめとする、海外調査を毎年継続的に行っており、中近東文化センターの研究室の重要な事業になっています。

エジプト・紅海地域の総合調査

 イスラーム・エジプト調査委員会は、1985年以来、「東西海上交流の実証的研究」、「エジプト・紅海地域の物質文化の研究」、「イスラーム都市の研究」を主要課題にイスラーム考古学を中心とする総合調査を実施してきました。フスタート遺跡(1985、1994〜現在)、トゥール遺跡(1985〜現在)、ラーヤ遺跡(1997〜現在)、ワーディ・アットゥール修道院遺跡(1994〜現在)などを調査し、地中海世界とインド洋世界を結ぶ「紅海文化圏」の研究を進めています。
ラーヤ遺跡城塞

日本アナトリア考古学研究所
カマン・カレホユックの発掘調査

 カマン・カレホユック遺跡は、トルコ共和国の首都アンカラ南東100kmに位置する基部280m,高さ約16mの遺丘です。1985年に考古学的な予備調査を行い、1986年より本格的な発掘調査を開始し、現在に至っています。これまでの調査では、第?汨wオスマン・トルコ時代、第? 層鉄器時代、第?。層中・後期青銅器時代、第?「層初期青銅器時代の4文化層が確認されています。
カマン・カレホユック遺跡北発掘区 古アッシリア商業文書
  (前18世紀)

トルコの職人調査

 1992年度より始めた調査で、『中近東の職人研究』の一環として行っている調査です。生産をめぐる様々な問題、諸現象、技術、社会構造など『職人』を中心とした世界を多岐にわたって研究することを目的としています。

イラン踏査

 1990年から開始したほぼイラン全域にわたる踏査ののち、2001年よりイラン文化遺産庁(現、イラン文化遺産観光庁)との共同調査を継続しています。調査の対象地は、カスピ海南岸のセフィードルード川とその支流域です。ここにはイラン鉄器時代からパルティア/サーサーンおよびイスラーム期までの古墓が群集し、正倉院に伝わる「切子ガラス碗」を副葬する事例もあり、東西交流に関して興味深いところです。「日本・イラン共同調査団」は、この地域の遺跡分布を細かく調査すると共に、2002年からは遺丘状遺跡タッペ・ジャラリイェの発掘を開始。分布調査では、旧石器、新石器時代の遺物や洞窟遺跡を、そしてタッペ・ジャラリイェ遺跡の発掘では鉄器時代からパルティア/サーサーン期までの層位的遺物を確認しました。さらに、古代環境復元のため地勢・地質調査、古獣骨調査、森林環境調査、放射性炭素年代測定および遺跡周辺域における民族誌的調査などを、イランの専門家とともに共同して進めています。
タッペ・ジャラリイェ遺跡遠望